「ポルトガルに行ってみたい」「住んでみたい」と思ったことはありませんか?
2023年10月7日に、ポルトガルでの不動産購入者にビザを発行する「ゴールデンビザ」が終わってしまい、落胆しておられる方もいらっしゃると思います。
そして、どうしてそこまでポルトガルが人気なのか不思議に思っていらっしゃる方も……。
その土地が実際にどんな場所かは、住んでいる人に聞くと一番よくわかります。
【どこに住む?】第5回目は、ポルトガル・リスボン在住5年のRyokoさんに、どんな所かお尋ねしてみます。
どんな人?
お名前:Ryokoさん
年齢:30代
職業:フォトグラファー
滞在期間:5年
住むことになったきっかけ:テレビで見たポルトガルの風景が記憶に残っていたので、初めての海外旅行でボルトガルへ。2、3回旅行で来た後、2018年にワーホリ(ワークホリデー)でリスボンに住み始め、半年後からフォトグラファーの仕事を開始し、そのまま移住されました。
ポルトガルに住んでいる日本人・外国人
ポルトガルに住んでいる日本人は790名と言われています(外務省「海外在留邦人数調査統計」海外在留邦人数調査統計|外務省 (mofa.go.jp)より)。
20代は留学やワーホリ、30代は駐在などが多いです。デジタルノマドビザやリタイアメントビザなどもあるので、人数は増えています。
ポルトガル・リスボンに住むメリット
◎気候が良い
寒いのがちょっと苦手なので、冬でも温暖なところがいいです。基本的に夏もカラッとして湿度が低くて過ごしやすいですよ。11月は雨が多いですが、天気関連のストレスはあまりありません。
◎食生活が充実している
肉も魚も野菜も果物もお米も1年中豊富です。他の内陸の国だと魚がない場合もあると思いますが、そういうのはないです。
◎景色が良い
どの景色を切り取っても絵になります。フォトグラファーとしても生活者としても日常的に「ああ、きれいだな」と思います。
◎自分の肌に合う
すごく好きな国に住めていること自体が嬉しいです。「良いところは?」と聞かれると、すごく主観的になってしまいます。
ポルトガル・リスボンに住むデメリット
◎坂道が多い
生活していると、とにかく坂道が多いので歩くのが大変です。
◎日本が遠い
直行便がないので、早くてもヨーロッパの都市で乗り継ぎして18時間、安いチケットだと丸1日はかかります。
◎家賃が高騰している
リスボンやポルトに移住する人が増えているので、家賃がすごく上がっています。私はもうずっと同じところに住んでいるのであまり変わっていないのですが、「みんな家賃が上がった」とか、「家が見つからない」とか言っていますね。ポルトガル人が住めなくなっているそうです。
最低賃金が月760ユーロぐらい(約12万円)ということを考えると、家賃がすごく高いので、ずっと住んでいる人はたまらないです。
◎ポルトガル語が難しい
やっぱり生活するのであれば、ポルトガル語は最低限必要なので、何かあった時のために勉強しています。役所から来る手紙とかメールとかも全部ポルトガル語です。
人によっては英語を話してくれたりもしますけど、私は別に英語も話せないのでポルトガル一筋で必死になってやっています。
◎関税が高い
日本から送ってもらうと、普通の個人のギフトと分かっていても、基本的に関税に引っかかってしまうので、お金を払わないと受け取れません。
物によるらしいですが、例えば、5000円ぐらいのものを買って送ったとして2000円ぐらい関税に取られるぐらいのイメージです。日本から荷物に入れて持って帰るしかないですね。
リスボンで住みやすい地域
私のように運転できない人は、メトロ(地下鉄)の徒歩圏内がいいですね。メトロの範囲は狭いですが、トラムやバスはあまり時間に正確ではないので……。
メトロには時刻表はないんですけど、駅のホームに「何分後に来るよ」というのが表示されるんですよ。割と頻繁に、5分ぐらいで来ます。
トラムとバスは時間が全く読めないですね。15分に1本来るはずが全然来なくて、40分待ったりするので、何時までに行かなきゃとかだったら困ります。
後はテージョ川沿いがいいと聞きますね。リスボンから大西洋まで川沿いに電車が通っているのですが、その付近が良いそうです。
リスボン郊外で住みやすい地域
住んだことがないので住みやすいかちょっとわからないですけれど、海沿いの終点、カスカイスは友人が住んでいて、お金持ちのリゾート地みたいな気がします。イギリス人が多いようですが、最近アメリカ人も増えているみたいです。
治安について
治安は良いです。地域によっては「あんまり夜に行かない方がいいよ」というところもありますけど、基本的には良いですね。
―ガイドブックにスリの話ばかり書いてあったので不安になったんですが、どうですか?
スリは観光地やトラム28番に多いぐらいで、凶悪犯罪というのは特にないですね。生活していて危険を感じることは全くありません。夜に歩いて家に帰ったりしますし、過ごしやすいです。マリファナの臭いがするとかはあるので、気持ち悪いと思う人はいるかもしれないです。
―観光客と住人の違いってどうやって見分けるんですかね? スリに遭わないためには、何に気をつけたらいいのでしょう?
わたしもカメラを持って歩いている時はきっと観光客と思われていますが、スリにあったことは特にないんですよね。本当に混んでいる電車とかトラムとかではカバンを斜めがけや前にしたりします。でもリュックだったらそのまま乗っていたりもします。
実際スリにあった人もいるので、トラム28番は気をつけていますが、そんなに人混みじゃなければ大丈夫だと思います。
場所的には、生活している人が多い地域だったら大丈夫です。図書館とかだとパソコンとかみんな置きっぱなしで食べに行っちゃったりしますから。
―そんな感じなんですね。安心しました。
自然災害について
約300年前に大きな地震があったので、地盤的に地震の可能性はゼロじゃない土地です。
あとは、夏に山火事が多いですね。すごく乾燥していて、雨が3ヶ月ぐらい降らないこともあるので、特に内陸の方で、人が住んでいる所でも山火事があります。
リスボンでも山っぽいところでちょっと火事があったりしました。山のすぐ横でなければ大丈夫だと思いますが、内陸の方では注意する方が良いと思います。
日本食料品の入手
―日本食料品は手に入りやすいですか?
手に入りやすいですよ。
リスボンには中華系のスーパーが3つあるので、そこに行けば手に入ります。日本のものが豊富という訳ではないですが、中華系スーパーの一角に出汁や味噌、カレールーとかがあります。日系のスーパーは「Goyo-Ya」があるのですが、高いから行かないです。
わたしは困ってないですけど、すごくこだわったり、色々日本食を作りたい人からすると物足りないかもしれないですね。
―普段はどんなものを作るのですか?
普通にご飯を炊いて、味噌汁や野菜炒めを作ってという感じだったら全然不自由はありません。醤油、味噌、出汁は売っているので。
日本っぽいお菓子とか日本のカップ麺とかはないです。海外用の小さなカップ麺はあります。そういうものを求めなければ、そんなに困らないかなと思います。お刺身は自分でおろせる人だったら問題ないと思います。
ポルトガルの魚介類
―ポルトガルは魚介類が美味しいですよね? 何が一番美味しいですか?
有名なのはイワシです。春から夏にかけてが旬です。年中手に入りますが、やっぱり旬より味は劣るかもしれないです。
鯛みたいな魚や、スズキ、太刀魚、エビ、イカ、タコもあります。貝はアサリが多いです。
和食レストランのお勧め
お気に入りの和食レストランだと、「Tasca Kome」という元々日本人の方がやっておられたレストランがあって、すごく美味しいです。今は日本人の方はお店を譲って、フリーでケータリングとかをされているらしいです。
ラーメン屋さんだと、「AFURI」という日本のラーメン屋さんの支店があります。私は知らなかったんですが、日本人の方々が「AFURIがある」と喜んでおられました。味は普通に美味しいですけど、高いです。たまに麺がちょっと固まっていたりするので、この値段だったら別のものを食べるかな、と思いました。
ラーメンなら日本人経営じゃないですけど「Honda Ramen」の方がお勧めです。
ポルトガル料理レストランのお勧め
大体どこで食べてもハズレは少ないと思います。有名なところだと「Ponto Final」というテージョ川の向こうにある川沿いのレストランがお勧めです。フェリーで行くのですが、Netflixの世界の美味しいものを食べる番組で紹介されたりして、結構有名店です。
10月に予約取ろうと2週間前に電話をしたのですが通じなかったので、直接行って予約したらもう1ヶ月後じゃないと取れないと言われました。
7時頃、早めに行って待てば座れます。景色もいいです。川沿いの本当に川にせり出した感じのお店で、夕日が沈むのを見れます。
肉も魚もあって何でも美味しいですが、「Peixinhos da Horta」という長いインゲン豆みたいなもののフリット(天ぷらの元になったもの)がすごく美味しいです。
ビザの申請
―これからもリスボンにずっと住む予定ですか?
とりあえず住めたらいいなと。今は居住者カードがあるので、2年毎に更新していて、次は3年もらえるかなぁと思っています。私の場合はボルトガルで申請したので、ここで仕事をしていて、一定の収入があるという証明を提出して申請します。
最初に申請した時は、結局ビザの取得までに2年半かかり、その間ポルトガルから出られませんでした。申請中ということで滞在は許可されていたのですが、いつ取れるかわからないのを待つのはしんどかったです。
私と同じぐらいの時期に申請した人は大体2年半で、今はもっと待つかもしれないです。
―待っていても取れるという保証はないんですよね?
そうですね。「拒否されたらどうしよう」とずっと思っていました。最終的には大丈夫だったんですけど。国から出られないけれど、忍耐力さえあれば、1人だったので何とかなりました。
私はワーホリビザからの流れで申請したのですが、日本や他の国から何らかのビザを取ってきた人とは申請窓口がまた違うらしいです
―取れてよかったですね。
そうですね。本当に良かったです。
退職後のポルトガル移住について
-退職後にボルトガルに来る人も多いと聞いたのですが、おすすめですか?
今まで住んでいたとかじゃなくて、いきなり退職後にポルトガルっていうのは、難しいと思います。坂道が多くて、年をとってから生活するのはすごく大変だと思うんですよね。滑ったりしやすくなるので、転んで怪我をしたら大変です。
まだ歩き慣れない最初の頃は、結構転びやすいので、私も3回ぐらい転びました。
ペタンコの靴でも滑り止めがあまりないものだとすごく滑ります。滑り止めが一番大事です!
―言葉も大変そうですね。言語アプリがあれば何とかなるかなとも思いますが……
旅行だと別に必要ないですが、何かあった時、ポルトガル語は必要だなと思います。それが全部お金でカバーできる人だったらいいんですけど、そうでもないっていう人だったらちょっといきなり老後は厳しいかも。
駅のエスカレーターやエレベーターも半分ぐらいは壊れていたりするので、階段の上り下りも大変だろうと思います。ホームまで階段だけだったりします。
逆に郊外の方が全部車で移動であれば、そんなに問題ではないかもしれないですね。
―これから住みたいところはありますか?
私はポルトガルと日本以外は考えていないので、好きな所に住めているというのがいいですね。特に日本に帰ろうというのもないです。
今のところはそうですけど、10年後とかは分からないですね。
―Ryokoさん、ポルトガル・リスボンについての情報をありがとうございました!
Ryokoさんの写真集&写真撮影サービス
Ryokoさんは、美しいリスボンの風景を集めた写真集「リスボン写真散歩」を出版しておられます。
写真集として美しく、リスボンの素晴らしさが堪能できます。
知らない土地を旅行すると、本やガイドブックでよく目にする風景をバックに写真を撮りたくても、どこからどういう角度で撮ればそういう写真になるのか分かりませんよね。
写真集の巻末には撮影場所の地図も載っているので、この写真集を見て気に入った場所で写真を撮ることができます。
でも、「自分で見つけて巡るのは大変!」という方は、フォトグラファーのRyokoさんに写真撮影をお願いできます。
私たちもお願いしました!
家族で写真集を見ながら場所を選び、リスボンの展望台や路地を散策しながら撮っていただいた写真は、自力では決して撮れなかったクオリティで、とても良い思い出になりました。
ポルトガルに初めて旅行で来たのが10年前ぐらいなのですが、他の国と比較してということを全くせずに、空気が肌に合うというか何かびびっと来たので住みたいなと思いました
とおっしゃるRyokoさんの地元愛を感じながら、石畳の街を散策してみましょう。
Ryokoさんについて
東京都出身。
2018年よりポルトガル・リスボン在住。その後フォトグラファーとしての活動を開始。
街の風景写真や、街を背景とした人物写真を中心に撮影している。
Website :
ポルトガルの思い出を写真にしませんか? – FOTO da Ryoko – ポルトガルの写真撮影サービス
*卓上カレンダーやオリジナルトートなどを購入できます。
Instagram :
FOTO da Ryoko // ポルトガル在住フォトグラファー (@foto_da_ryoko) • Instagram photos and videos
YouTube :
FOTO da Ryoko // ポルトガルフォトグラファー – YouTube
地域情報
日本町 | なし |
日本食料品店 | あり(アジア系食料品店:あり) |
日本の書店 | なし |
日本関係(ポルトガル・リスボン)
まとめ
Ryokoさんにお話をお伺いして、ひとまず定年後に移住というのは体力的にも難しそうだと分かって良かったです。
「もしポルトガルに住んでみたいなら(長期滞在含む)、できるだけ若いうちの方がいいかも!」
と思うようになりました。
次回は、リスボンだけでなく、ポルトなどにも行ってみようと思います。
今後も、こんな風に色々な場所に住んでいる方にお話を聞いていきます。