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【オレゴン州ポートランド】JWPDX代表、宮永薫さん、エルティング孝子さんインタビュー

【オレゴン州ポートランド】JWPDX代表、宮永薫さん、エルティング孝子さんインタビュー

オレゴン州ポートランドに行ったら、会いたい人たちがいました。「Japanese Women Portland(以下JWPDX)」代表の宮永薫さんとエルティング孝子さんです。

JWPDXは、2012年1月に発足した、ポートランドと近郊に住む大人の日本人女性のためのコミュニティグループで、約630人のメンバーがいます。

JWPDXホームページにある、薫さんと孝子さんの動画「JWPDXについて話してみました」の中で、「発足時、ただ、集まって楽しかったね、だけじゃない会にしたいと思った」とおっしゃっていたのが印象的で、詳しくお話しをお聞きしたくなりました。

JWPDX発足のきっかけ

JWPDX
みのり

どうしてグループを始めようと思われたんですか?

薫さん

その頃、ポートランドには日本人女性が出会えるような女子会がなかったんです。

孝子さん

とりあえず「どうやってやる?」となった時に、私はまだ子供がいなかったので、日本語教育関係や和文化系や、たまたま知り合った方がお友達で、薫ちゃんは引っ越してきたばかりで、子どもさんが小さくて、プレイグループや学校のママ友がメインの友達で、この二つが重なることがなかったんですよ。

孝子さん

だから、私たちが何かを始めたら、いろんな人が交わえるし、自分たちも知り合えるし、いいんじゃない?という気軽な感じで始めたんですね。じゃあ、月に一度イベントをしようとなった時、毎回何か違ったことをやろうかという風になりました。薫ちゃんは長年ホテルの営業企画で。イベントコーディネーターの仕事をしていたので。

みのり

「ただ、集まって楽しかったね、だけじゃない会にしたい」と思われたのはなぜですか?

孝子さん

二人ですごく話し合って、「こうやっていこう」と決めたわけではなく、大きな枠組みがあって、たぶんその考え方が似ていたからというのがあると思います。

孝子さん

ただ、集まって楽しくしゃべるだけだったら、お友達同士でもできるじゃないですか。だから、そこから一歩踏み込んだこと……例えば、自分の特技を生かせる場所であったり、情報交換できたりとか、その人たちのプラスになること、自分たちも皆も楽しくてできることをやっていこうというのを積み上げていきました。

孝子さん

気軽に参加できる場、安心して過ごせる場を作ろうというのが基本にあって、イベントをしていって、今の形になっていきました。

みのり

始めは月に1度集まっておられたんですよね?

薫さん

4年間ね。

みのり

すごいですよね。

孝子さん

私はまだ子どもがいなかったんですが、私の夫にも、下の子がまだ1歳ぐらいだった薫ちゃんの旦那さんにも呆れられながら……。

薫さん

すごく気分転換になりました。脳を使うのが楽しかったですし、皆がアメリカに来て色々不安もあるところで、新しい人に出会えたりとか、視野を広げられて。

薫さん

日本にいたらできるけれど、アメリカに来たらできないとかありますよね。日本人の方は女性の方も器用な方が多くて、仕事ではできないけれど、こういうこともできるという方がすごく多かったので、月一でやっていた時は、「こういうことできます」という人に出会ったら、「じゃあ、やってみてください」って声をかけて、イベントにしました。内容によって、参加者がガラッと違いました。

コミュニティを続けていくコツ

JWPDX
提供:JWPDX
みのり

コミュニティを続けていくコツはありますか?

薫さん

私の中では、二人がいつも同じ方向を向いていることだと思います。色々なアイデアや意見があっても、やっぱり目的は一緒なので、ああだこうだ言いながら、焦らず、できる範囲で、無理をせず。

孝子さん

そうそう。後は、執着をしないということかな。例えば、このグループを利用して、自分の利益になるようなことをしようという気持ちが全くなくて、ずっとボランティアでしていて、ある意味ライフワークの一つです。だから、良い後任の方がいつかもし現れて、引き継いでいってくれたら、全然手放すし、執着していないんです。

薫さん

「来月引っ越してきます」「最近知りました。友達もいなくて」という人から連絡が来て、力になれたら、続けてきて良かったなと思います。「ずっと存在を知っていたけど、子育てが忙しすぎて、なかなか参加できなくて、今回初めて参加できました。うれしいです」とかいう言葉を聞くと、続けてきて良かったと思います。

薫さん

10年やってきて、「こういうグループがあるんだ」とすぐ伝わるようになって、メッセージが来たり、フェイスブックでつながったりして、やっぱり続けてきて良かったという感じです。

みのり

今も連絡が来たりするんですか?

孝子さん

フェイスブックは毎月来ています。最近はフェイスブックでメンバー申請する方が多くて、時々メールで連絡が来る方もいます。

孝子さん

メンバーでフェイスブックをやっておられない方もいらっしゃるので、色々考えたんですけど、クローズドのグループページは、メンバー同士がコミュニケーションしやすいツールです。

孝子さん

一人が「こういうのを探しているんですけど、知りませんか?」と質問したら、何人かが返事をくれたり、「こういうのを売りたい、買いたい」とか些細な情報でもアップして、誰かが反応してというのがあるので。

JWPDXのチャリティ活動

JWPDX 2012年ラメージセール
提供:JWPDX
みのり

チャリティは今もされているんですか?

薫さん

コロナになってからやってないですけど、チャリティバザーとか毎年色々やりましたね。

孝子さん

一番最初はラマージセール。日系の教会のセールと共催して、メンバーのいらないものを売りました。

孝子さん

私は東日本大震災の時、日本にいたんですね。でも、香川だから何が起きているかテレビに映るまで知らない状況でした。その後しばらくして、こちらに引っ越してきて、私たちは母国から離れてしまったので、何か遠くに離れていても支援することはできないかなと考えました。

孝子さん

2012年から、ただのグループじゃなくて、チャリティに貢献することもやろうと始めて、毎年、宮城県気仙沼市のNPO法人「ピースジャム」さんに寄付してるんですね。実際に自分たちが寄付したお金がどう使われているかが明確にわかります。

薫さん

「ピースジャム」は、ジャムを作る工房があって、お母さんも子育てしながら働けます。工房の外に、遊具がある小さな公園を建設した時にお金が使われたとか、メンテナンスするためにとか。微々たるものですけど……。

みのり

確かどこかに合計金額150万円と書いてありましたよね。微々たるものではないと思うんですけど。

孝子さん

本当に1年に700~800ドルとかいう時もあったし、ただ一回、大きなイベントをして、その時に5千ドル得ることができたので、それを寄付して、工房とかの建設のお役に立つことがちょっとはできたんですけど。

薫さん

常に「こういうのに使いました」とか、コミュニケーションも取ってますし、実際に会いにいくことでつながっているところもあります。メンバーさんから「いつもピースジャムなの?」という声があったりもしますが、すごくいい関係ができています。

「ピースジャム」を支援し続ける理由

JWPDX 2016年に気仙沼にあるNPO法人ピースジャムを初めて訪問
提供:JWPDX
薫さん

被災地で実際体験、経験している人は、被災地の人の気持ちや状況がわかっていて、その後にも、日本で自然災害がすごく多い中で、代表の佐藤さんも西日本豪雨で岡山に自分が行って、「ピースジャム」で作っているモスリンの手ぬぐいを赤ちゃんに渡すために持っていったり、手伝ったりされていました。

薫さん

そこでちょうどお祭りか何かをやる予定だったんだけれど、町の人はしたくなくて、「そんな時じゃない」って。でも、彼は「そんな時だからこそやったら皆が元気になるよ」というのを知っているから、助言されたりとか。

薫さん

そこを私たちが応援することによって、次につながっていくので、その都度変えるのではなく、私たちは応援し続けています。まだ色々頑張っている方なので……。

孝子さん

復興って2、3年でできるものじゃないじゃないですか。今もまだ大変。しかもコロナの状況でまた大変。でも、ある程度時間が経っているので、政府からの援助が打ち切られるとかそういう状況になった時に、やっぱり少しでもサポートする何かができたらっていうのがあって、ずっと続けているんですね。

孝子さん

でも、去年は、こっちもコロナや山火事で大変な状況でもあったし、寄付はできなかったんですけど、代表の佐藤さんをオンラインイベントにお招きして、女性ばっかりの中でお話ししていただいたりして。

孝子さん

そうすると、メンバーの中に、何度か「私がJWPDXに入ったのは、こういうチャリティ活動をされているからだ」とおっしゃる方もいらっしゃいました。いつも協力してくださっているんだけど、ここにこうやってわかって下さる方もいらっしゃるんだなと思うと、それこそ本当に続けてきて良かったなと思うんですよね。

ポートランドこどもチャンネルについて

JWPDX ポートランドこどもチャンネル
みのり

こどもチャンネルについて教えてください。

孝子さん

コロナで休校になった昨年の4月から7月まで週3回を目安に、基本的にポートランド在住、又はポートランド在住の方と関係のある講師の先生方にお願いして、録画のビデオ、もしくはズームでのオンライン講座で、様々な分野で、子ども達が楽しく学ぶということを目的に、配信してみました。

みのり

あの時、大変でしたよね。小さいお子様がいらっしゃる方は特に。

孝子さん

そうなんですよ。うちも子供たちが4歳になったばかりだったので。プリスクールはお休みになって、キンダー以上もお休みになって……。

みのり

ポートランドではいつからいつまで休校だったんですか?

孝子さん

キンダー以上は、去年3月半ばからこの春までオンラインで、プリスクールは去年の9月から開き出したので、夏休みに入るのもあって、こどもチャンネルは7月までやりました。

孝子さん

ピアノの先生が演奏してくださっている動画とか、ズームで実際にリトミックのレッスンをやって下さったり、先生方が日本語、ヨガなどの動画を提供してくださって、フェイスブックのこどもチャンネルのページにあげて、誰でも見れるようにしていました

みのり

孝子さんの鯉のぼりの動画見ました!

孝子さん

ありがとうございます(笑)

薫さん

公開ページだったので、消さなくちゃいけない動画もあったんだよね。

孝子さん

期間限定でアップしてくださった動画もありましたね。和楽器をされている方が子どものために作ってくださったり。たぶん、高校生と大学生の姉妹の方のエクササイズやアートのクラスや、絵手紙の先生のクラスはユーチューブに残ってると思うんですけど、全部はないです。

孝子さん

オンラインレッスンのときは、メールやクローズドのグループページで、当日のズームのURLをお伝えしました。

薫さん

フェイスブックページに、ポスターは残っていますよ。

孝子さん

薫ちゃんが作ってくれたんだよね。

みのり

こどもチャンネルを拝見して、そうか、コロナ禍でそういう風に考えられるんだなと思って。

孝子さん

いや、何かしないとという気持ちになって。ちょっとでも家で子供たちと何かすることを見つけたいと……

薫さん

先生方も宣伝もできるし。

みのり

良かったら、また続けたいと思われる方もいらっしゃいますよね。

孝子さん

そうですね。私たちも何もお支払いできないので、先生方にも「子供たちのためにもひと肌脱いでください」とお願いして、快く皆さん「いいですよ」と言ってくださって。ポートランドのプリスクールも何軒か協力してくださいました。

みのり

それも、JWPDXによる起業されておられる日本人の応援につながるんですか?

孝子さん

それも私たちの応援の一つになりますね。

薫さん

そういうきっかけになってくれたら、もちろん私たちは嬉しくて。とりあえず「やってみませんか?」と声をかけてみて、「やってみたいです」と言ってくださいました。

孝子さん

今までの女子会のイベントでの講師もそうですけどね。

薫さん

普段プロでやられている方でも、イベントやワークショップになれば、本当に応援価格で、メンバーのために安い価格でしてくださるんですよね。それで次のビジネスにつながったというのも聞いているので。

孝子さん

やっぱり630人に、こういうことをやっている人がいるというご紹介はできるから、そういう意味での応援という感じです。

JWPDXの10年間の変化

JWPDX
提供:JWPDX
みのり

10周年を迎え、コミュニティが大きくなって、変わってきたことや、心がけておられることはありますか?

孝子さん

変わってきたのは、ママ会、起業家交流会、犬会などのサブグループができたということと、メンバーの中でもコミュニティとかを作る人が出てきたということかな?

薫さん

そうですね。もちろんグループの認知度が上がってきたということもありますけど、常に同じことはしてないよね?

孝子さん

ただ、気楽に集まって話せる場というのを求めている人も多いので、年に数回はそういうのも持ちつつ、後は、知りたい情報をお届けしています。

薫さん

知りたい情報も色々違うんですけどね。

孝子さん

私たちが心がけていることは、先程も言いましたけど、無理せず細く長く続けていくということですかね。

みのり

10年ってやっぱりすごいと思います。

孝子さん

あっという間でしたね。でも、私の出産した年と、薫ちゃんの職場復帰した年が重なった時は、イベントもすごく少なくて、年数回しかしてないし。

薫さん

コロナ禍だった去年は毎月オンラインでイベントしてたんですよ。こどもチャンネル以外に。

みのり

臨機応変にということですね。

薫さん

来年の1月、10年目は、節目に何かできたらいいなとは思っています。

JWPDXの今後

【オレゴン州ポートランド】JWPDX代表、宮永薫さん、エルティング孝子さんインタビュー
みのり

先ほど、ポートランドについてのお話を伺っている時、計画を立ててはいないけれど、コミュニティを作ってるのは、結局、自分たちの老後のためでもあって、友達がいて、日本語が通じて、日本食が食べれる施設ができればいいなというお話をされていましたが……。

孝子さん

コミュニティがあることで、他州から引っ越してこられる方も、日本人が沢山いて、コミュニティがあるんだったら、ちょっと参加してみようかなと思われて、そこでお友達を作ったり、イベント等に参加するきっかけを持って、そこから何かが広がっていくという意味では、細く長くやっていこうと話しています。

孝子さん

私たちが年を取っていくに連れて、参加年齢も上がってくるので、「赤ちゃんからお年寄りまで」と私たちは言ってるんですけど。

薫さん

女子グループも皆、人生のステージが変わっていって、その中で、子育てしながら、子育てが一段落したら起業を考えたりします。そういうのを応援し合って、「子どもが巣立ったら、今後はどうするの?」「自分の健康はどうなるのかな?」「金銭的にどうなのかな?」と色々ステージによって変わってくるので、そういう時もリソースがあったり、話し合えたりする環境が常にあったらいいなと思っています。

薫さん

皆それぞれ立場が違うので、自分たちの今のステージに大切なこともすごく興味はありますけれど、他の人がいるということもいつも視野に入れながら、やっていますね。

みのり

夢が広がりますね。いつか「こういう施設作ったんですよ!」とか言われてそう(笑)
「今は収容人数これだけですけど、近々もうひとつ作ります」みたいなこともあり得るかも。

薫さん

そうすると、将来が不安じゃなくなるんじゃないかと思います。

まとめ

薫さん、孝子さん、お話しありがとうございました。

JWPDXのこれからの活動も本当に楽しみです。

JWPDXについて、そして、薫さんと孝子さんの活動をもっと詳しく知りたい方は、下記のリンクからご覧ください。

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